Webページを作っていると「ボタンを少し横にずらしたい」「画像を回転させたい」「マウスを乗せたときに大きさを変えたい」というような、CSSで要素を直接変形したいと思うようなことがあります。そんなときにとても役立つのが、CSSのtransformプロパティです。このプロパティは要素を自由自在に変形させるためのプロパティで、使いこなせるとCSSでのデザイン表現の幅が大きく広がります。
この記事では、transformプロパティの使い方を詳しく解説していきます。
このページの目次
transformプロパティとは
transformプロパティは、英語の「Transform(変形する)」という意味の通り、要素(文字や画像、ボックスなど)さまざまな変形を適用するために使用するCSSプロパティです。
具体的には、次のようなことができます。
- 移動:要素を元の位置からずらす
- 回転:要素の角度を変える
- 拡大・縮小:要素の大きさを変える
- 傾斜:要素をななめに歪ませる
transformプロパティは、CSSでアニメーション(動き)を作るときなどにも欠かせない、とても重要なプロパティになります。
Note
transformプロパティでの移動は「位置を変える」ように見えますが、実際にはレイアウト(配置)には影響しません。「見た目だけを変える」プロパティだと覚えておきましょう。
transformプロパティの概念の基本「軸(じく)」について
transformを理解するために、とても大切なのが「軸」です。2次元(平面)の変形では、次の2つの軸を使います。
- X軸:横方向 右が正(プラス)、左が負(マイナス)
- Y軸:縦方向 下が正(プラス)、上が負(マイナス)
transformの多くの関数は、「X方向にどれだけ動かすか」「Y方向にどれだけ動かすか」という考え方を使います。注意が必要なのは、 数学のグラフとは違い、Webでは下が正(プラス)になりますので気をつけましょう。
transformプロパティに指定できる値
transform プロパティに指定できる値には、規定値と以下の4つのものがあります。
| 種類 | 値 | 説明 |
|---|---|---|
| 規定値 | none | 変形なし |
| translate (トランスレート) | translate()、translateX()、translateY() | 移動 |
| rotate (ローテート) | rotate() | 回転 |
| scale (スケール) | scale()、scaleX()、scaleY() | 伸縮 |
| skew (スキュー) | skew()、skewX()、skewY() | 傾斜 |
transformプロパティに指定する特殊な値
transformプロパティに指定するのは少し特殊な値で値関数(座標変換関数)というものを指定します。
値関数は、CSSプロパティで使用される値を返すために、特別なデータ処理や計算を呼び出す文です。単に値を指定するだけではなく、値関数の「()」内に指定した数値などから計算・処理した答えを返して設定できる機能を持っています。
transformプロパティに指定できる値と値関数を見ていきましょう。
規定値:none
transform プロパティの規定値は「none」になります。これは「変形なし」という意味で、要素はそのままの大きさ、形、位置で表示されます。
transformプロパティの規定値
.element {
transform: none;
}
値:noneは、指定した変形を打ち消したい(リセット)ときに設定したいときに使用します。
translate(移動)の使い方
translate関数は要素の表示位置を移動させるのに使用します。translate関数には「translateX()」、「translateY()」、「translate()」があります。
値:translateX()
translateX() は横(x軸)方向に移動をさせるときに使用します。()内には移動したい距離を指定し、正の値を指定すると右へ、負の値を指定すると左へ要素を移動します。
HTMLコード
<div class="box box1">要素1</div>
<div class="box box2">要素2</div>
translateX() 関数の指定例
.box {
width: 100px;
height: 100px;
background-color: blue;
color: #ffffff;
text-align: center;
line-height: 100px;
transition: transform 0.5s ease;
}
.box1:hover {
transform: translateX(30px);
}
.box2:hover {
transform: translateX(-30px);
}
値:translateY()
translateY() は縦(y軸)方向に移動をさせるときに使用します。()内には移動したい距離を指定し、正の値を指定すると下へ、負の値を指定すると上へ移動します。
translateY() 関数の指定例
.box1:hover {
transform: translateY(30px);
}
.box2:hover {
transform: translateY(-30px);
}
値:translate()
translate()は、translateX()とtranslateY()のショートハンドプロパティです。translate()は要素を縦横(x軸・y軸両方向)同時に移動させることができます。()内に「,(カンマ)」で区切って2つの値が指定できます。1つ目の値はx軸方向の指定で、2つ目の値は、y軸方向の指定になります。
2つ目の値は省略可能で、その場合、translateX()でx軸方向のみの移動を指定しているのと同じになります。
translate() 関数の指定例
.box1:hover {
transform: translate(30px, 30px);
}
.box2:hover {
transform: translate(-30px, -30px);
}
rotate(回転)の使い方
rotate関数は要素を回転させるのに使用します。
値:rotate()
rotate()は要素を回転させるときに使用する値です。()内には回転させる角度を指定しますが、指定する値の単位にはdeg(デグ)を使用します。degは「Degree」の略で角度を意味します。正の値を指定すると時計回りに、負の値を指定すると反時計回りに要素を回転します。
translate() 関数の指定例
.box1:hover {
transform: rotate(180deg);
}
.box2:hover {
transform: rotate(-180deg);
}
scale(拡大・縮小)の使い方
scale関数は要素を拡大・縮小させるさせるのに使用します。scale関数には「scaleX()」、「scaleY()」、「scale()」があります。
値:scaleX()
scaleX() は横(x軸)方向に拡大・縮小させるときに使用します。()内には伸縮させる倍率を指定し、値に1以上の数を指定すると要素を拡大、「0~1」の間の少数を指定すると要素を縮小することができます。
scaleX() 関数の指定例
.box1:hover {
transform: scaleX(1.5);
}
.box2:hover {
transform: scaleX(0.75);
}
値:scaleY()
scaleY() は縦(y軸)方向に拡大・縮小させるときに使用します。倍率の指定のしかたは、scaleX() と同様です。
scaleY() 関数の指定例
.box1:hover {
transform: scaleY(1.5);
}
.box2:hover {
transform: scaleY(0.75);
}
値:scale()
scale()はscaleX()とscaleY()のショートハンドハンドプロパティです。scale()は要素を縦横(x軸・y軸両方向)同時に拡大・縮小させることができます。()内に「,(カンマ)」で区切って2つの値が指定できます。
1つ目の値は横(x軸)方向の指定で、2つ目の値は、縦(y軸)方向の伸縮倍率の指定になります。
scale() 関数の書式
transform: scale(x軸の倍率, y軸の倍率);
2つ目の値は省略可能で、その場合、横(x軸)方向に指定した伸縮倍率と同じ値が、縦(y軸)方向にも適用されます。例えば、scale(1.5)と指定した場合は、scale(1.5, 1.5)と指定したのと同じになります。
scale() 関数の指定例
.box1:hover {
transform: scale(1.5, 1.5);
}
.box2:hover {
transform: scale(0.75, 0.75);
}
scale関数の伸縮倍率に負の値を指定する
scale関数の伸縮倍率に「-1」を指定すると、指定した軸方向で要素を反転することが可能になります。
scale 関数の伸縮倍率に「-1」を指定
.box1:hover {
transform: scale(-1, 1);
}
.box2:hover {
transform: scale(1, -1);
}
画像などを反転させたいときなどにも使うことができます。
skew(傾斜)の使い方
skew関数は要素を傾斜させるのに使用します。skew関数には「skewX()」、「skewY()」、「skew()」があります。
値:skewX()
skewX() は、横(x軸方向)に傾斜をつけるときに使用します。()内には傾けたい傾斜角度を指定します。正の値も負の値も指定することができます。
skewX() 関数の指定例
.box1:hover {
transform: skewX(30deg);
}
.box2:hover {
transform: skewX(-30deg);
}
値:skewY()
skewY() は、縦(y軸方向)に傾斜をつけるときに使用します。傾斜角度の指定のしかたは、skewX() と同様です。
skewY() 関数の指定例
.box1:hover {
transform: skewY(30deg);
}
.box2:hover {
transform: skewY(-30deg);
}
値:skew()
skew()はskewX()とskewY()のショートハンドハンドプロパティです。scale()は要素を縦横(x軸・y軸両方向)同時に傾斜させることができます。()内に「,(カンマ)」で区切って2つの値が指定できます。
1つ目の値は横(x軸)方向の指定で、2つ目の値は、縦(y軸)方向の傾斜の指定になります。
skew() 関数の書式
transform: skew(x軸の傾斜角度, y軸の傾斜角度);
2つ目の値は省略可能で、横(x軸)方向に指定した傾斜角度と同じ値が、縦(y軸)方向にも適用されます。例えば、skew(10deg)と指定した場合は、skew(10deg, 10deg)と指定したのと同じになります。
skew() 関数の指定例
.box1:hover {
transform: skew(30deg, 30deg);
}
.box2:hover {
transform: skew(-30deg, -30deg);
}
transformの値を複数指定する場合
transformプロパティの値を複数指定したい場合、それぞれの値を半角スペースを空けて記述します。
transformの値を複数指定
.box1:hover {
transform: translateX(30px) rotate(360deg) scale(1.3);
}
複数の値を指定する場合、書く順番で結果が変わることがあるので注意が必要です。次の例のように「移動」してから「回転」させるのと、「回転」させてから「移動」するのとでは、最終的に要素が移動する位置に違いが出ています。
transformの値を複数指定する場合の順番による違い
.box1:hover {
transform: translateX(50px) rotate(45deg);
}
.box2:hover {
transform: rotate(45deg) translateX(50px);
}
transformが効かない場合の原因
transformが効かない場合のよくあるケースについていくつか紹介をしておきます。
インライン要素に指定している場合
transformプロパティは、<a>タグや<span>タグなどのインライン要素に指定しても効きません。適用させるには、のdisplayプロパティで、inline以外の値を適用させる必要があります。
HTMLコード
<span class="inline-box1">インライン要素にはtransformが効かない</span><br>
<span class="inline-box2">インライン要素以外にはtransformが効く</span>
インライン要素に指定しても効かない
.inline-box1 {
transform: translate(50px , 50px);
}
.inline-box2 {
display: inline-block;
transform: translate(50px , 50px);
}
transformプロパティを複数回指定している場合
transformプロパティの値を複数指定したいとき、transformプロパティを複数回指定してしまうと、最後のtransformプロパティ以外は上書きされて適用されません。
次のようにtransformプロパティを2回指定した場合、先に書いた「transform: rotate(45deg)」は、後に書いた「transform: translateX(30px)」によって上書きされてしまい効きません。
transformプロパティを複数回指定しても最後のものしか効かない
.box {
transform: rotate(45deg);
transform: translateX(30px);
}
transformプロパティの値を複数指定する場合、それぞれの値を半角スペースを空けて記述しましょう。
まとめ
- transformは 要素の見た目を変形するプロパティ
- 移動・回転・拡大縮小・傾けることができる
- レイアウトには影響しない
- 軸(X・Y)を意識すると理解しやすい
- アニメーションや動きのあるデザインにとても便利